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●はじめに

 このシナリオは、「クトゥルフ神話TRPG」に対応したシナリオである。探索者3~5人向けにデザインされている。作成したばかりの探索者でも、歴戦の探索者でも楽しめるだろう。プレイ時間は探索者の作成時間を含まないで6時間程度だろう。基本ルルブだけでもプレイ可能だが、マレモンもあると望ましいだろう。
 舞台は2017年の東京とするが、季節は初夏から晩秋までの間で、KPが自由に定めてよい。探索者たちは、ある探偵事務所に出入りする仲間と想定されているが、最初からお互い顔見知りであれば、それ以上の設定はKPが自由に定めることも可能である。

●プレイヤー向け情報

 舞台は現代日本(2017年)の東京。季節は初夏から晩秋までの間でKPが指定する。探索者たちは、ある探偵事務所に出入りする仲間である。ただし、探索者は私立探偵である必要はない。探偵事務所のご意見番の大学教授や、システム保守のために常駐するエンジニアなども可能である。探偵事務所に出入りする理由を含め、職業はPLの想像力にゆだねられている。
 探索者たちは、常連として通っている居酒屋のオーナーから、人探しの依頼を受ける。もちろんただの人探しではなく、背後に蠢く宇宙的恐怖に、探索者たちは否応なく巻き込まれていくだろう。探索者たちは秘められた謎を解き明かし、この東京を守らなくてはならない。
 シナリオ全編にわたって都市での探索を想定していることから、聞き込みや調査が重要であり、それが得意な探索者がいたほうが有用だろう。また、〈精神分析〉も有用である。なお、不可避の戦闘は発生するが、戦闘技能を用いずとも生還は可能である。もちろん、戦闘が得意な探索者を使用することもPLの自由である。

●​導入

 ある日探索者たち(と、上司である探偵事務所所長)は、「ブラックロータス」オーナーである須田アキラから、店の30周年を祝う常連客限定のパーティーに招かれる。ブラックロータスは池袋のチャイナタウンの外れにある、アジア系無国籍料理を提供する居酒屋で、店員にもアジア系が多い。店内にはアジア各国のものと思しき独特の置物や絵画が多数置いてあり、一風変わったスパイシーな匂いが漂っている。
 ほかの客が帰った後も探索者たちが飲食を楽しんだ後、アキラはおもむろに相談してくる。アキラは、顔の彫りが深く、太っていて、やや神経質な感じのする男性で、意気消沈しているように見える。
「実は、探偵である皆さんに一つ頼みたいことがあってね。実は娘の亞里亞が、行方不明になってしまったんだ。やっと交通事故の怪我が治って退院したばっかりなのに、どうしていいかわからないよ。もちろんお礼は十分にするし、何なら今後うちの店をタダで利用してもらってもかまわない。どうか力を貸してもらえないだろうか」
(以下略)

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